歯磨きについて

1. 歯磨きについて

歯周病の予防に一番大切なのは歯磨きをしっかりと行うことです。
子犬の頃から口を触ることに慣れておき、歯磨きの習慣をつけておかないと成犬からではなかなかうまくいかないことが多いのが現状です。
特に歯周病が進行してから急いで歯磨きを始めようとしても痛みで余計に口を触らせてくれないことが多い為、歯磨きが困難になります。
今日は自宅で歯磨きを始める際にどんな手順や方法で勧めていけばよいのか説明します。

step1 口の周りを触れるようにする

犬の多くは、口を触られることを嫌います。楽しみながらでないとデンタルケアは続かないので、好きなことを同時に行い陽性の条件反射をつけることが重要です。
具体的には、口を触らせてくれたらご褒美(食事やおやつ等)をあげ、口の周りを触らせるといいことがあると思わせましょう。
嫌がる場合は無理をせず、少しずつ慣れていけるとよいでしょう。
無理矢理やってしまうことで次回からやらせてくれなくなる場合もあるので注意が必要です。

step2 口の中を触ってみましょう

口の周りが触れるようになったら次は口の中を触ってみましょう。
まずは歯肉や切歯(前歯)、犬歯など触りやすいところから始めます。嫌がる場合は短時間で切り上げて後日再チャレンジしましょう。
手前の歯を触ることに慣れたら、奥の歯も触っていきます。歯垢は奥歯に溜まりやすいため、奥歯まで触れるようにすることが重要です。

step3 歯磨きシートを使ってみよう

口の中が触れるようになったら歯磨きシート使ってこすり磨きを始めましょう。
市販の動物用の歯磨きシートやガーゼを指に巻き付けます。まずは手前からはじめて徐々に奥の歯をこすって磨いていきます。
あまり強くこすりすぎると歯茎を傷めたり、炎症を起こす可能性があるため注意が必要です。
また嗜好性が高い歯磨きペーストやジェル等を歯磨きシートにつけることで、嫌がらずにやらせてくれる子もいるので併用すると効果的です。
病院でも何種類か歯磨きペーストがありますが、チキンフレーバーのものはとても人気があります。

step4 歯ブラシにチャレンジ

歯磨きシートに慣れたら歯ブラシを使ってみましょう。
歯をガーゼで触るまではやらせてくれても、歯ブラシは受け入れない子も多くいます。
歯ブラシは目に見えている歯の部分でだけではく、歯と歯肉の間を横方向に少しずつ動かしながら歯周ポケットの中の歯垢を取り除くように磨くのがポイントです。
磨きやすい切歯(前歯)や犬歯から行い、徐々に奥の歯を磨いていきます。
一本一本丁寧に磨くのが理想ですが、嫌がる場合は一度にできない場合もあるので無理はしないようにしましょう。
ここでもご褒美を上手に使いましょう。少し歯磨きをして、上手にさせてくれたらすぐご褒美をあげます。
歯磨きができる時間を徐々に長くしていけるように頑張りましょう。
また歯ブラシには動物用のものを用いるとよいですが、ない場合はヒト用のものでも代用できます。
小型犬の子では通常ヒト用のものではヘッドが大きく使いづらいことが多いです。
ヒトの赤ちゃん用を使う場合もありますが比較的毛先が太くて硬いため不向きです。歯ブラシを選ぶ際は、その子の口や歯の大きさに合わせてサイズを選び、また歯周病がある場合は歯周ポケットに歯ブラシの毛先が入りやすいものを選ぶとよいでしょう。

2. 自宅でできるその他のデンタルケア

歯磨きガム

市販、動物病院専用のものまで様々な種類があります。あくまでも歯磨きが一番ですができない場合は勧められます。
ガムは硬すぎると歯を痛めたり、小さいと飲み込んでしまったりトラブルになることもあるので注意が必要です。

乳酸菌製剤(サプリメント)

歯周病の原因となる口腔内の悪玉菌の増殖を抑える効果があります。日々投与することで歯周病や口臭を予防できます。
サプリメントだけでは不十分なので、歯磨きと一緒に併用し効果を高めましょう。

3. 最後に

歯磨きの習慣をつけるまでなかなか大変ですが、歯周病が重度になると歯の問題だけでなく、全身への悪影響もありますので頑張ってやりましょう。
毎日は難しくても2,3日に一回やるだけでも効果はあります。
歯周病について詳しくは6月のブログで紹介していますので一度目を通していただければと思います。
また歯磨きがうまくできない場合は病院で相談にのることもできますので、一度来院していただければと思います。

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