腎臓内科

腎臓内科のご案内

腎臓内科では、腎臓、尿管、膀胱、尿道を扱います。
ペットの高寿命化に伴い、身体の機能が衰えることで腎臓に関する症状にお悩みの方が増えてきている印象があります。腎臓は一度悪くなってしまうと、その後回復させることができないため、いかに早期発見をするか、現状を維持するか、ということが大事になります。
人の医療において、腎不全という言葉を聞くことがありますが、それは腎機能低下の状態を表します。
腎機能低下が生じる原因はさまざまあります。慢性的な腎不全に起因して徐々に腎機能が低下する場合と、脱水や中毒、尿路閉塞などにより急激に腎機能が低下したりします。

猫の祖先はもともと砂漠地帯で暮らしていたリビアヤマネコと言われています。
乾燥地帯ですので、猫の身体は水分を無駄なく利用できるようにできている一方、おしっこをできる限り濃縮するため、腎臓には負担がかかりやすい特徴があります。
特に猫については腎臓病のリスクがあることを頭に入れ、日頃からケアをするようにしましょう。

腎臓の働き

腎臓は、体内の老廃物や余分な水分、塩分などを尿として作る働きを持っています。
余分なものは体外へ排出させ、必要なものはバランスよく調整して残す機能があるため、一度腎臓の機能が悪くなってしまうと、体外へ排出するべきものが排出されないことでそれらが体内に留まり、さまざまな症状を引き起こします。

お力になれるケース

  • 他の病院で腎臓系の病気だと診断されたが、詳しい先生がいなかった
  • 診断名はついているものの、手術はできないと言われた
  • 診断名はついているものの、他の先生の意見も聞いてみたい
  • 完治は目指さないが、今の生活の質は落としたくない など

腎臓内科でよくみられる症状

  • 水をよく飲む
  • 食欲が無い(痩せてきた)
  • 毛艶が悪くなってきた
  • トイレに行く回数が増える
  • トイレと関係のない場所でおしっこをする
  • 尿が少しずつしか出ない
  • おしっこの際に痛がる
  • おしっこに血が混じる
  • 尿が匂う
  • トイレにうずくまるようになった

検査方法

尿検査

尿からは多くの指標を評価することができます。

  • 物理的性状:色調、臭気、透明度、比重
  • 化学的性状:尿PH、たんぱく、糖、ビリルビン、潜血
  • 尿沈渣:顕微鏡により、結晶、円柱、細菌、血球、細胞等を観察

なお、尿を採取する際には、自然排尿、カテーテル採血、穿刺採尿があります。

血液検査

腎機能の指標となる数値である、尿素窒素(BUN)や 血清クレアチニン(CREA)などの異常が認められます。
尿素窒素も血清クレアチニンも本来は、腎臓から排泄される老廃物なのですが、腎機能の低下により体内に蓄積されてしまい、血中濃度が上がってしまいます。

超音波(エコー)検査、レントゲン検査

膀胱の内部の確認をします。結石がある場合は、超音波検査やレントゲン検査にて評価が可能です。

腎機能検査(SDMA、シスタチンC)

SDMA(対称性ジメチルアルギニン)は腎臓の糸球体濾過率(GFR)の指標となる血液検査項目です。
SDMAは90%以上が腎臓から排泄されることを利用して腎臓の糸球体濾過量を調べることができる検査です。
慢性腎臓病においてクレアチニンよりも早期に上昇することが知られており、腎臓病の早期発見に有用です。
これまでの血液検査では、食事中の蛋白含有量や筋肉量などによって計測したい値が左右されることがありましたが、腎機能バイオマーカーでは、そのようなことがないほか、血液検査でのクレアチニンの評価よりも早期に腎臓病を判断することが可能です。

尿検査

腎臓を通り生成されたのが尿ですので、尿を調べることでどういった値に異常があるか検出できます。
一般性状検査である、尿の色、濁度(濁りの程度)、量、比重(濃さ)から、科学的性状検査である、pH、蛋白、ブトウ糖、ケトン体、潜血、ビリルビンなどを評価します。

血圧測定

腎臓病の子は、腎性高血圧という状態になることがあります。これは腎臓が尿中に排泄するナトリウム量が減ることで、レニン・アンジオテンシン系の活性化などさまざまな原因で起こります。
一般的に、高血圧の子の方が、低血圧の子よりも腎機能の悪化が早いです。

尿路系造影検査

尿路用の造影剤(画像診断の際に画像にコントラストを付けたり特定の組織を強調して撮影するために投与される医薬品)を用い、レントゲン撮影を行うものです。
検査方法には2通りあります。

静脈性尿路造影検査
静脈から造影剤を注射する方法です。この方法では、左右の腎機能が正常に働いているかや、尿管結石等の閉塞の有無などを評価することができます。

逆行性尿路造影検査
尿道から、カテーテルを挿入し、造影剤を入れる方法です。尿道結石や尿道腫瘍といった病気が疑われる際に選択します。

CT検査

レントゲン検査や超音波(エコー)検査では評価のできない尿路結石や、腫瘍の周囲への浸潤(しんじゅん。広がること)を評価するために行います。
身体を輪切り状態にした画像が撮影できるため、臓器の大きさや形、位置の把握、異物の発見に有効です。

外科的治療法

SUBシステム設置術

尿管が閉塞し、水腎症(腎盂(尿管と繋がっている腎臓内にある部分)から尿管にかけての部分が拡張すること)を引き起こしている腎臓から尿管を飛ばし、直接膀胱へチューブへ繋ぎ、尿の流れを確保する方法です。尿管を経由しないため、尿管へのダメージが加わらないようになります。
近年は腎臓〜膀胱へのバイパス形成手術は、尿管スタント設置術などと比較し、尿管再閉塞率が低くなってきてはいますが、人工物を体内に入れることになるため、本手術を選択する際にはそのメリット・デメリットについて飼い主様に詳細にお伝えします。

腎臓は回復しない臓器

腎臓は一度悪くなると、回復することはできません。
そのため、腎臓そのものを治療するのではなく、それ以上症状が悪くならないように最善を尽くす、ということになります。
具体的には、尿毒素のもとになるタンパク質を吸着して、便と一緒に排泄させるようなお薬や高血圧を防ぐためのお薬を飲んだり、腎臓病の子のための特別療法食を与えたり、ということになります。
近年では、血液透析や腹膜透析を行い、物理的に老廃物の排出を促せるようにもなってきました。

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